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パワハラ労災の認定基準が2023年に改正~2024年白書が示す最新動向と企業が取るべき備え

パワハラと労災の関係とは?

「うちの会社には関係ない」と考える経営者や管理職は少なくありません。
しかし厚生労働省の統計によると
精神障害による労災請求のうち約3割がハラスメントに関連しています。
職場の人間関係や上司・同僚の言動が“労災の引き金”になるのは、もはや珍しいことではありません。

労災が認められる典型例(厚生労働省事例集より)

長時間労働による精神障害の労災認定

新規プロジェクトを任された社員が、月90〜120時間の残業を継続。
結果として適応障害を発症し、労災認定されました。

上司の暴言やいじめでうつ病が労災認定

「死ね」「辞めろ」といった暴言や書類を投げつける行為を繰り返され
社員がうつ病を発症。
このケースも労災として認められました。

2023年改正―精神障害の労災認定基準のポイント

2023年9月、厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」を改正しました。
今回の改正で新たに
「カスタマーハラスメント」「感染症リスクの高い業務」
強い心理的負荷として評価対象に追加されています。

これにより、職場外からの圧力や社会的リスクも労災認定の判断材料となり
企業に求められる配慮範囲は広がりました。

労災が認められにくいケースとは?

一方で、本人が強いストレスを感じていても
労災が認められにくい場合もあります。

  • 業務上の通常範囲の指導
  • 証拠や客観性が乏しい場合

このようなケースは「社会通念上の指導」とされ
不支給となることもあります。
この境界線の曖昧さこそが、企業リスクを高める要因になってきます。

裁判例から学ぶパワハラ労災のリスク

電通過労自殺事件

新入社員が過労とパワハラにより自殺。
労災認定され、会社には1億円超の賠償命令が下されました。

トヨタ自動車事件

上司による威圧的な叱責が「通常の指導を超える」とされ、労災と認定されました。

労災の補償は国が行いますが
企業は「安全配慮義務違反」で訴訟や信用失墜のリスクに直面します。

2024年最新「過労死等防止対策白書」の注目点

2024年10月に公表された令和6年版 過労死等防止対策白書では
次の課題が報告されています。

医療従事者の精神障害労災の増加

医師や看護師における精神障害労災の認定件数が増加傾向。

DX担当者・芸能業界での過重労働リスク

IT・DX分野の専門職や芸術・芸能業界スタッフにも
長時間労働や心理的負荷が広がっていると分析。

メンタルヘルス・ハラスメント防止の重要性

最新白書では、メンタルヘルス施策とハラスメント防止が
改めて企業に求められる対策と明記されています。

企業が取るべきハラスメント防止と労災対策

管理職研修によるリスク予防

パワハラと指導の境界を理解させ、誤解を防ぐ研修を行うことが必須です。

相談窓口の整備で社員の声を守る

社員が安心して声を上げられる窓口を設けることで
問題の早期発見が可能になります。
(できれば外部資源を活用した形が好ましいと思います。)

組織風土改革で安心して働ける職場づくり

制度を守るだけでは不十分です。
互いを尊重する空気をつくることこそ、最大のリスクマネジメントです。

よくある質問(FAQ:パワハラと労災認定)

Q1. パワハラがあれば必ず労災認定されますか?
A. いいえ。因果関係の証明や心理的負荷の強さが必要です。

Q2. 労災が認められたら会社は補償しなくてよいのですか?
A. 補償自体は国が行いますが企業は訴訟リスクや信用失墜の可能性を免れません。

Q3. 最も効果的な防止策は?
A. 「相談窓口の整備」と「管理職研修」です。仕組みが整えば未然防止につながります。

最後に 労災リスクから会社を守るには

もし「うちの職場は大丈夫だろうか?」と感じたなら、早めの相談が安心です。
労災認定や請求手続きにとどまらず、ハラスメントが生まれにくい組織づくりまで
具体的にサポートします。

安心して働ける職場は、会社と社員にとって最大の財産。
その第一歩を、一緒に踏み出してみませんか。

ご相談は こちらから(問い合わせフォームへ)

参考資料(最新の厚労省資料・判例)

  • 厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準(2023年9月改正)」 改正概要ページ
  • 厚生労働省「精神障害の労災認定に係る判断指針(事例集)」 PDFリンク
  • 厚生労働省「令和6年版 過労死等防止対策白書」(2024年10月公表) 公式ページ
  • 判例:電通過労自殺事件(東京高裁 平成12年)、トヨタ自動車事件(名古屋高裁 令和3年)
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