年次有給休暇は許可制ではない~法の原則と組織変革へのヒント
※やっちまった〜😅 本当は下書きにするつもりが、うっかり公開されてしまいました。
でもせっかく調べてまとめた内容なので、このまま皆さまにシェアします。
制度の知識と組織変革のヒントを込めていますので、ぜひご覧ください。
年次有給休暇は「許可制」ではなく「届出制」
「有給休暇は上司の許可が必要」そんな誤解が根強くあります。

しかし労働基準法第39条では、労働者が年休を請求したとき
使用者はその時季に与えなければならないと明記されています。
つまり、年次有給休暇は「許可制」ではなく「届出制」。
これは会社が裁量で与えるものではなく、労働者に保障された権利となっています。
例外として認められる「時季変更権」
会社は「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、時季変更権を行使することができます。
ただし、これは本当に業務が回らないレベルでなければならず
安易な運用は法的にも許されません。
なお、通達では、「事業の正常な運営を妨げる場合」とは
個別的、具体的に客観的に判断されるべきであると共に
事由消滅後能う限り速やかに休暇を与えらなければならない
とされています。
実務で広がる誤解とその影響
多くの職場では「有給は上司の許可を得るもの」
という慣習が残っています。
この空気は「休みにくい」という心理的圧力を生み
結果として有休取得率の低下、社員の疲弊、
さらには離職リスクにつながります。
日頃からの関係構築がカギ
年休を円滑に運用できるかどうかは
日頃からの関係構築と感情共有にかかっています。
上司と部下が日常的に業務の進捗状況に加え
部下の状況(可能な範囲)や想いを共有していれば
休暇取得は「突然休む」ではなく
「お互い様」「おかげ様」という文化に変わります。
そしてこの問題は、特定の人だけのものではありません。
子育てでの急な発熱や学校行事
そして家族や親の介護での通院付き添いや入退院対応
こうした出来事は、立場や年代を問わず
誰にでも訪れる可能性があります。
だからこそ「休みを取りやすい空気」をつくることは
組織にとって普遍的な課題なのです。
年休取得は組織風土の鏡
年休の取得率は組織の健全度を測るバロメーターです。
制度があっても「気兼ねなく休める空気」がなければ機能しません。
- 「休むと迷惑をかける」という空気 → 制度は形骸化、社員は疲弊
- 「休むことでリフレッシュし、次の成果につながる」という空気
→ 制度が活き、組織が成長
数字だけでなく「空気」を変える組織変革
有給休暇の運用を「制度」から「文化」に変えることこそ
持続的な組織をつくる鍵です。
数字を追う前に、空気を変えることで結果がついてくる
その発想が組織変革の本質です。
組織変革に向けた実践ヒント
- 理念と結びつける:
「社員の健康や人生を大切にする」という理念を掲げ
年休取得を理念の実践に位置づける - 管理職の意識を変える:
「休まれると困る」から「休める環境を整えるのが上司の役割」へ
意識をシフトする
- 風土を変える:
管理職自らが休暇を取り、ポジティブに発信することで
「休むことが当たり前」の文化をつくる
まとめ―休暇制度から組織を変える
年次有給休暇は「許可制」ではなく「届出制」。
その正しい理解と日常の関係構築によって
休暇は「迷惑」ではなく「支え合い」へと変わります。
子育てや介護など、誰にでも起こりうる
ライフイベントに備えられる組織こそ
社員にとっても会社にとっても安心できる職場です。
安心して休める組織は、安心して働ける組織。
その空気を育てることが、組織変革の第一歩です。
参考資料
- 労働基準法第39条
- 通達 昭和23年7月27日付 基収第2622号
- 厚生労働省「年次有給休暇の取得促進に向けて」 公式ページ
